薔薇名前☆その2

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こんにちは、noruです。

‥…ぷぷっ、あっ。

Unknown 14.26.46
「 君、失礼じゃないか。」

「 こらっ、
  ほんまこんな時に、不謹慎やろ。」

‥…。

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‥…失礼しました。

最初の不審死は転落死。しかし2番目の被害者は指と舌を紫色に染め、
桶に入って死んでいました。もう事故ではありません。
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被害者は二人とも写字室勤務。
1人は細密画家
もう1人は翻訳家です。

まだ印刷技術はなく、蔵書は
写本により後世に伝えられていました。

「 とりあえず、
  図書館、行ってみる ?」

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カトリック随一の蔵書を誇る迷宮図書館。盲目の老修道士が君臨していました。
その昔、彼はやり手の本収集家でした。彼の尽力で図書館が生まれたのです。
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隣には彼に従順な図書館責任者。
そして巨漢で男色の副責任者。

「 被害者の机を
  見せてもらえますか。」

「 なんで。」

雰囲気的にムリ‥…。

そんな中、巨漢の副責任者が奇声を発し、椅子に飛び上がります。‥…ねずみでした。
思わず、緊張がとけ一同失笑。
Unknown
突然、厳しく叱責する老修道士。
「 笑ってはいかん。笑いは聖職者にあるまじき愚かな行為。
  笑う顔はサルのようではないか。」
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ウイリアムは言いました。
「 サルは笑わない。」

そう人間だけが笑います。

日常の滑稽な出来事や風刺。
「笑い」は実は知的な行動なのでした。

彼はアリストテレスの詩学の一節。
他人の愚行を用いて行う喜劇を引用し、笑いは肯定すべきものと言います。
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老修道士は言いました。
「 君はそれを見たことがあるのかね。」

その本。
アリストテレスが喜劇について記したといわれる本は
誰も見たことがありません。伝説の書なのです。

ウイリアムは言いました。
「 残念ながらありません。」

満足そうな老修道士。
「 そんなものは
  この世に存在しないのだ。」

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‥…。

しかし本当は存在しました。しかもすぐそこに。
それは禁書、その存在は秘密です。しかし秘密というのは‥…もれるもの。

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最初の犠牲者。

ウイリアムも知る有望な画家でした。
彼の風刺画は切れ味鋭く
そして美青年。

才能あふれる彼はうわさの禁書が
読みたくてたまりません。

その弱みに付け込んだのが男色の副責任者でした。
交換条件で秘密の場所を教えます。しかし彼はその本を読む前に
自分の罪におののき、自殺してしまいます。

彼は自殺する前。秘密の場所が書かれたメモを友人である、
2番目の被害者に託します。彼は翻訳者。ギリャ語で書かれた禁書を読み解き、
死んでしまいます。本には毒が塗ってあったのです。
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当時、紙は高価なもの。
書物は羊の皮を使った羊皮紙を使っていました。

羊皮紙はすべりやすく
指を舌で舐めてめくるのが常でした。

死んでしまった被害者を見つけた副責任者。
自分の罪が露見することを恐れ、死体を樽に入れたのです。

‥…。

次の被害者はこの副責任者でした。
彼の興味は男性。別に知的欲求から読んだわけではありません。

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「 これ、
  そんなにオモロいんかな。」

他人の秘密は蜜の味。
ダメと言われれば見たくなる。

笑っちゃいかん
思えば思うほど笑えてくる。人情です。

本は一人歩きを初めます。
主な関係者がみんな死んでしまいました。

というわけで、やっぱり犯人はこの人。
老修道士ホルヘ。

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最後の被害者は自分の手先にしていた図書館責任者でした。
毒のことは彼にも秘密。彼もまた誘惑に負けたのです。
こうして老修道士は本を取り戻します。

‥…。
それにしても彼はなぜ
そんなに「笑い」を恐れたのでしょうか。

隠せば隠すほど‥…あっ、疑ってませんよ。

んーっ‥…ぷぷ、なノダ。
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